一橋大学

一橋大学 商学部・大学院経営管理研究所 データ・デザイン研究センター

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文部科学省「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」へのとりくみ

対象科目名:AI入門

「一橋大学商学部データ・デザイン・プログラム」は、全学の学部生を対象に「AI入門」の講義を開講しています(主担当教員:福田玄明准教授)。この講義は、人口知能とコンピュータ科学に関する基礎的なリテラシーの教育を目的にしており、本学の情報教育の充実に貢献するものです。2020年度(2単位講義を5枠開講)から開始され、2021年度はさらに拡充(2単位講義を7~10枠開講)する予定です。

講義概要:

「AI入門」教育目標・身につけることのできる能力

 全学共通教育科目「AI入門」は、AI・データサイエンスの基礎を学び、これからの時代の社会科学、および実社会のイノベーションを牽引する学生を輩出することを目的に2020年度から開講されました。

 近年のAI技術の発展は目覚ましく、今後、実世界における問題の解決により役立つことが期待されています。それに伴い、AI・データサイエンスなどの言葉を日常で見かける機会が増えてきた一方で、多くの人にとってはそれらがいったいどのようなもので、何がどのように新しいのかよくわからないという状況を生んでいるようにも思われます。このような中で、この授業ではAI・データサイエンスの基本事項の一通りを、実際に手を動かして経験することで、AI・データサイエンスを包括的に理解し、これからの社会におけるAI・データサイエンスの可能性や危険性について正しく考えられるようになることを目標とします。

授業の内容

 よって、この授業では、以下の3つの事柄について、プログラミングを伴う演習形式で学びます。

  1. AI・データサイエンスにかかわる方法の原理、機能を概観すること
  2. コンピュータ、情報技術を用いた問題解決の方法とその考え方を身につけること
  3. AI・データサイエンスの社会活用・留意事項を学ぶこと

内容:シラバス https://syllabus.cels.hit-u.ac.jp/hit_syllabus/2021/00/00_1GG20301_ja_JP.html

授業におけるトピックは以下の通りです。人工知能にかかわる事柄を一通り経験できるように構成されています。

  • 人工知能の歴史とこれから
  • プログラミングの基礎(Python3)
  • プログラミングによる問題解決
  • データ処理入門(Pandas, Matplotlib)
  • 強化学習のもと
  • 統計的学習への第一歩
  • 統計的機械学習の実践(scikit-learn)
  • ディープラーニングのお話 (Keras)
  • AI・データサイエンスと社会

一橋大学は、この「AI入門」講義を文部科学省「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)」に応募し、認定を目指す計画です。

認定プログラム修了要件:
全学共通教育科目「AI入門」を履修し、単位を取得すること(全学部共通)。
実施体制:
  • データ・デザイン研究センター(プログラムを改善・進化させるための体制)
  • 全学共通教育センター(プログラムの自己点検・評価を行う体制)

(1)「AI入門」講義の外部審査委員会の設置

「AI入門」の講義内容や受講状況を総合的に検討し、外部の視点から改善策を助言するための委員会を設置する。春夏学期、秋冬学期それぞれの終了時に諮問会議を開催し、討議結果を「AI入門」の講義内容、運営方法などに反映させる。

審査委員:
  • ソニー クリエイティブセンター 山内文子
  • パナソニック デザイン本部 阿部亨
  • 富士通 デザインセンター 杉村浩晃
  • 資生堂 クリエイティブ本部 山野内理

(2)「AI入門」受講者増加の取り組み

2020年度の「AI入門」は、2単位講義で5枠開講されたが、 受講希望者数は受講定員を大幅に上回り、抽選によって受講者を決定している。抽選倍率は4倍以上にもなっており、早急に改善する必要がある。そこで2021年度は、非常勤講師を採用し、体制をさらに拡充し、2単位講義を7~10枠開講する予定である。

2020年度の受講希望者に関するデータ:

「AI入門」授業の応募数
「AI入門」授業の応募数
「AI入門」授業の受講者 学年別構成比
「AI入門」講義に関する自己点検、および、評価

(3)「AI入門」講義に関する自己点検、および、評価

 授業終了時に実施した教員設定質問を含む授業アンケートでは、授業内容にかかわる設問である授業の分かりやすさ、教材の有用さ、教員の熱意の有無、受講した意義の有無について、いずれの質問においても、80%以上の学生が「強くそう思う」または「そう思う」と回答した。これらから、この授業は学生に好意的に受け止められていると思われる。初回アンケートの集計によると、受講前にはほとんどの学生のプログラミング経験が高校の授業程度であり、授業内容の分かりやすさという面でも全体的には程よい難易度であったことがうかがえる。

 また、AIについての理解が深まったか、プログラミングの技術が上がったかという質問に関しても、9割近くの学生がポジティブな反応を返しており、AI・データサイエンス教育の基礎を多くの学生に身につけさせるという目的を果たせていることがうかがえる。

 さらに、今後もAIやプログラミングにかかわる取り組みを続けたいかという設問においては、70%の学生が今後もAIやプログラミングに取り組みたいと答えており、入門授業としての役割を果たせたと考えられる。

 一方で、自由記述では多くの学生が難しかったという感想を述べている。これは、履修者数320名に対して単位取得者271名(単位取得率84.7%)と授業途中での脱落者を生んだこととも関係しているかもしれない。この理由としては、今年度はオンライン授業であったことで苦手な学生への学習支援が十分でなかったこと、今年度から始まった授業であるためプログラミングや数学が必要な授業という認識がなく履修した学生がいたことなどの授業形式に関する理由とPCスキルやプログラミング経験の面で学生間のばらつきが大きかったこと、扱う内容がやや多かったことなどの授業の難易度にかかわる理由が考えられる。今後は、授業の内容、形式について広く周知を図るとともに、授業で扱う内容を厳選し、フォローアップ体制の拡充することが求められる。

 とはいえ、初回アンケートでこの授業に期待することの自由記述によると、ディープラーニングや自然言語処理、ビジネスに役立つAIといった、この授業では扱えなかったハイレベルな内容を求める意見も多くあり、期待される内容を満たしつつ、学生にとって理解しやすい授業を作ることは難しい。授業内容の選択、説明の分かりやすさの向上といった教員側の努力と合わせて、学生側の自習の必要性の理解とより多くの自習時間の確保が求められる。

 授業アンケートでは、難しいという意見と同時に、多くの内容が学べたことが良かったとする学生も多く見られたこと、また、初回アンケートでは、プログラミングの基礎を身につけたい学生と最新のAI技術に触れたいという学生の二極化が見られるため、将来的には、レベル別のクラス構成やプログラミングの基礎を教える別授業を準備するなどの対応も考えられる。

アンケート結果:

アンケート結果

授業アンケート(事後)コメント・感想など自由記述(抜粋)

初回授業アンケート:この授業に期待すること(受講前、自由記述、抜粋)